小説

写文と真似文

――文章が上達するには、好きな作家の文章を写してみるといいよ。

 と、よく人にも書にも聞く。

 そうか、写文か! と思って写してみるけど、どうも文章の真髄まで迫れない。
 表面の形式だけは薄くわかるけど、それだけじゃいかん気がする。

 やっぱ、読んで、その世界に浸らなあかんなぁ、と思ったりする。
 なので、このたび、読んで、ほほぅと感嘆した文を、真似て書いてみることにした。

面白い本を読んだ後って、その世界観とか、文体とかが、自分の中に残ってたりしません?
それが、自分なりのコトバで文章になって、頭の中に流れてきたりしません?
 その読みたてホヤホヤのうちに、書いてみなきゃ! と思うわけである。名付けて真似文diamond

 今回読んだ「ヤマトタケル」(氷室冴子:著)では、ヤマトタケルが東方遠征して、帰還するときに、尾張の国の巫女、美夜受姫のもとに夜這いしにいく(ええんかい!)というシーンがあるんだけど、そこが印象的だったので、真似て書いてみます。

――闇夜に突然現れたこの男と、私はまぐわい、人生を交錯させ、肉をやぶりつらぬく苦痛と、濃い蜜のように甘美な夢想と、天にものぼる幸福と、胸を切り裂く嵐のような苦痛と、心の膿みをさらす恥辱と、身を削り魂をとぎすます成育を、共に経験するのだろう。
 この、熱い肌を玉の汗でしめらせ、上下する胸をしなやかな筋肉でおおい、純真な強い目でまっすぐ私を見ている男となら、それらを共に経験するに相応しいと――いや、そうしたいと思った。
 だから、私は肌を合わせた。そしてこの男こそが、深く愛すべき、私の新たな神であると知った。
 嗟々、ただ陽気にふうわりと咲く、満開の花であった私は、春の嵐の突風に揉まれ、花びらを散らされ、ねじられ、揺らされ、乱舞するふぶきになってしまった。
 春の神のようだわ、あなたは。

 と、あたしのコトバで書くとこうなるんだけど、参考元になった原文を、次は写文してみます。

――その夜、王子はわたしの閨処を訪れた。
 けれど、小灯りが王子の片頬を照らす間もなく、王子はすばやく褌を脱ぎ、焦れたようにわたしを突き転がした。
 飢えて乾いた喉を潤そうとするように激しくわたしの唇を吸い、押しつけ、そして怒ったように、ふいに身動きした。
 わたしは逃げる素振りもみせなかった。
 なのに王子は、赤子がやみくもに母を求めるようにわたしの乳房を摑み、咬みつき、わたしの中で泳ぎ回るのだった。
 魚だわ。
 あの白い魚のようだ。
     (中略)
 研いだ刀のような鱗をわたしの壁に押しつけ、刻みつけながら、泳ぎ回る聖なる魚。
 網にからまれ、もがき、燦めく銀の鱗を惜しげなく散らしながら、わたしの海で跳ね泳ぐ一匹の、無数の魚。
 わたしの目に涙が溢れ、声にならない声が迸った。
     (中略) 
 わたしは王子のために、神を棄てた。
 族人を守り、春ごとに土を新たに生かし、稔りを約束してくれる尾張の神を旧神として棄てた。
 わたしの神は倭建だと、心に決めた

 もう、こりゃ、技術の差が浮き彫りですね。表現方法とかも再認識させられるし。古代の風俗ってこう表現するんやぁとか、こんなモチーフでの表現方法もあったのか! と思ったり。
 あたしの文、反省点がいっぱいある。。文は長いし、同じような表現多いし。シチュは合わせて書いてないけども。
 ちなみにエロ文書くのは、けっこう好きだったりします。面白いじゃんね、色んなものが内包されてて。表現技法いっぱい使えるし。
 ハッ∑それが描写ってことか!

 これは、ええ勉強法を開発したぞっsmilebookと思うわけです。
 書いて読んで書いて読んで書いて・・・(以下エンドレス)
 写文は奥が深いなあ。~sun

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文の音を吟じる

 俵万智の本を読んだ。
 ていうか歌を詠んだ。

 そう、『サラダ記念日』~~! ☆sun 

 小学生のころ、国語便覧で勉強して、
(はぁ~? 「このサラダ美味いね」って男の人が言ったからサラダ記念日? イミわから~~ん。しかも現代語で短歌ってちょっとヘンだし)
 って、古典好きの小学生だった私は、生意気にも思っていたわけだけど、今考えると、
(なにっ、彼氏が「サラダ美味い」って言うてくれたって!? ヤバい~、レシピ永久保存やん~、建国記念日より重要やわ~)
 と思うわけで、あのころ私はガキだった、乙女心のおっぽもなかったのね。

 そのココロで歌集『サラダ記念日』を読んでみると、出てくるわ出てくるわ、鮮烈な情感!

 ・ 万智ちゃんが ほしいと言われた 心だけ ついていきたい 花いちもんめ

  竹林に 目まいのような 蝉の声 聞きおり我は 一本の

 ・ 明日会う 約束をして こんなにも 静かに落ちる 眠りのみどり

 ・ 愛された 記憶はとても 透明で いつでも一人 いつだって一人

 まず
花いちもんめ…
 すごい自分のたとえ!
 花いちもんめとは、一文(いちもん)にもならず買われていく美しい花=遊郭の女を、昔たとえた呼称だとか。
 欲しいならあなたに手折られた花になりたいわ~note と、どうなろうともすぐに飛んでいきたい気持ちが、鮮やかな花のイメージで、たおやかに描写されている。
 ような気がする(憶測)。

 つづいて
一本の竹…
 詠んですぐ、目の前に広がる立体的なイメージ。まるで、
 中国チャン・イーモウ監督の『LOVERS』とか『HERO』みたいな。
 一面の青竹色が奥まで広がって、しんと立ち並ぶ、清く静かなイメージ。
 それと、暑苦しいまでにうるさい、おなじみ蝉の声が同居している、色と音のコラボレーション。
 静寂と響く音の対比は、「~かわず飛び込む水の音(by芭蕉)」と通じるものがある、かも。

 で、
眠りのみどり…
 なんの心配もなく、安心して眠りに落ちていくのを、色で表現するとは!
 意味はようわからんけど、感覚的に、わかる気がする。
 明日彼と会えるから、天国(緑の花園)に昇るような気持ち、といったところかな。
 この人の見る夢はきっと、萌えるように鮮やかな色あいで、ぜったい、白黒とかじゃないんだろうなぁ。

 そして
透明で…
 万智すげぇ…。もうそれしか出てこない。
 これも色の表現。澄みきっていて哀しく、強く豊かな心も感じる。
 天才っていうのはこういう人を言うのね。

 いま、仕事場や教室とかで、プロの人に「文章の書き方」を教えてもらっているのだけど、ぶっちゃけ、プロの作品でも、おもんないものは多々ある。
(ふ~ん、だから? 買ってまで読みませんけど)みたいな。
 プロだろうが、商業ベースに使われていようが、本屋に並んでいようが、パッとせんおもんないものがたくさんあるわけで、そこには、一応体裁を一般的に整える技術はあるけど、たいせつな+a が足りない気がする。
 それは、そのひと個人の天性のきらめきを感じるもの。人生で表現したいものを鮮烈に持つ魂というか…。
 そういうものを、私は読みたい。
 と思う。万智ちゃんみたいなheart01
 だって面白いんだも~ん♪

 ちなみに、あとがきの方に、俵万智に短歌を教えた、学校の先生の解説が載ってるんだけど、
 この人の文章がまたイイ! リズムに合う!
 あたし、歌人の文章が超好きかもしんない~。note
 ついでにYoutubeとかで、歌詞つきの動画と一緒に歌うのも好きだ~。
 古代では、詩歌を朗々と歌って、物語が書かれたのではなくて?
 

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Load STORY vol.6 仕上げ

 そしてついに完全体へ・・・

 とりあえず最終形態です。ほんとはどこまでも永遠に、直しに直していってもいいわけですが、これ以上いらんボリュームを増やしていってもデブるという悲しい運命に。。

 それでは、バカバカしさ溢れるロードムービーの全容を、ついにお届け~bell

――――――――――――――――――――――――――――――

 タイトル:「華麗なる変態さんが通る ~朝」

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。ドアをガンガンいわせて一日の出発のスタートをきる。昨今の乙女一人暮らし事情はアブないのだ。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。焼けるコンクリートの熱気が立ち昇って来る。前方の視界に広がる、からっと明るい水色の空に、ご立派な入道雲が浮かんでいた。
 今日も朝から会社へ直行だ。OLの朝というのは大変なのだ。
 歩いて来るリーマン達が、「何だこいつは」という目でまじまじとこちらを見る。そりゃ小奇麗なワンピースを着た女子が、必死の形相で走っていたらビビるだろう。
 が、そんなことは気にしていられない。今日の一日を占う最初の関門、交差点の信号機が待っている。
 遥か前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった!
 全速力で横断歩道に足を突っ込む。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。よし、ギリギリで上手く突破した。我ながら華麗な逃走劇だった。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾く。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。
 実際、この爽やかな朝のジョギング運動をしたいがために、走っているのかもしれない。広場中央の庭には、草を刈り上げられた小山の上に大勢のハトたちが、土をつついてていた。黒い羽毛の中に、一羽だけ白っぽいのがいると、「あ、あたしと一緒だ」、とぼんやり眺めたりする。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて降りていく。
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りる。いつもここで妄想する。もし今このウェッジソール・サンダルの足をぐねり、衆人の注目の中階段を転げ落ち、べしゃんと床に突っ伏したらどうなるだろう。どのタイミングで起き上がろう? 起きた瞬間魂が体から抜け出すかもしれない。死はいつも日常生活と隣り合わせだ。
 と、無事に階段を降りきって、左右に分かれた地下道を、迷わず左へ。広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。汗がいよいよ気持ち悪い。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響く。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。
 この辺りで大体、いつもキモい男にナンパされる。夕方は危険地帯だ。お前は自分の姿を鏡で見た事があるのか!? というようなキモいのばっかりが、なぜか寄って来る。ちなみにここではリーマンがよく出没する。前友達に、「変な男に狙われやすそうだね」、と言われた。変なのか……。 
 コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。まあ、大丈夫だろう、とシビアに予測。
 JRの改札口から流れ出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。最後の階段を駆け下りると、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計で最後のリミットを確認、電車が来ていないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。華麗なる走破の二連覇達成だ。
 以前ここで不幸にも、財布を忘れた愉快なサザエさんになってしまった事がある。まさに悲惨だった。家からこの改札機まで、往復で20分はかかる。本気の走りを見せるしかない。
 ホームに電車の来るメロディが響き渡る。地下線路の奥から深いごうっという、圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 走りながら、次々と車両に抜かされていく。電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。大丈夫か? まだ間に合う! 最後の駆け込み、直線一気の大勝負。馬に例えるならば、後方からのラストスパート、最後の切れ味勝負の、追い込み馬タイプなのだ。このスリルがたまらない! 変態かもしれない! 必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入った。
 中で扉側に向き直って、本を広げた。ああ、何という達成感。おおよその到着時間と、朝の安泰は約束された。本は非常に感動的な、有名作家の郷愁センチメンタルモノだ。ゆっくりとページを繰っていく。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。しつこく読み続けながら、別線のホームへ上がる。
 本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。ここが実は運命を分ける重要なポイントである。痴漢の存在を最大限に警戒する。いや運命の出会いがあるかもしれ……ないだろう。女の人が多数いる列の後ろにササッと並んだ。女は味方だ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。「何だ、降りないのか」と、実は毎回落胆する。そして待っていた人の列に押し込められる。女の人がいる方へと注意して進んでいく。
 むっとした熱気と、自分か他人かわからない汗臭さが押し寄せ、車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。ここで、大阪市の地下鉄に貼ってある「チカンはアカン」の紙が目に入り、名作だと思う。押し合いへし合いの静かな肉弾戦が繰り広げられる。が、そこを何とか本を広げ、読む。満員電車も慣れるものである。
 これはささやかな自慢なのだが、電車で痴漢に遭ったことはない。やむなく男の中に入ると、「貴様ちょっとでも触ってみろ、大声を上げて車両中に醜態をさらし、警察に突き出し、末代まで社会復帰出来んようにしてやる」、という恐るべきオーラを発しているのだ。ちょっとでも近づこうものなら、「ああん?」という目をくれて嫌そ~に避け、怒気を放つ。そんな気などないオッサンにはいい迷惑だが、未然防止策である。ただ、ボ~ッと道を歩いていると、全く気が抜けているので、後ろからケツを触り逃げされることはある。
 一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。新しい隙間風が爽やかだ。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のストーリーがいよいよいいところに突入しているのを読みながら、可能な限り早足で歩く。人が多いので走ること叶わず。企業戦士達の速い濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗りながら目は本に釘付け。だが確実に、現実は近づいて来ている。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。今お父さんが息子に、実は愛していたんだと伝え、息子は父や母の苦労を知り、ヒロインと愛の最期へ向かう盛り上がり超感涙シーンなのだ。足がふらつき、地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いた。
 視界にぼやけた会社のロゴマークが近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。笑顔で声の大きく、話好きなおじいさんである。いつも守衛室で、怪しい者が会社に出入りしないか見張っている。このおじいさんに捕まったが最後、5分はその場から逃げられない。特に野球の話が大好きである。そのおじいさんの視線をじっくり感じながら、本を閉じると、そこは会社だった。すると後ろに……
 スーツ姿の男性がいた。その気配を感じる。
 一気に振り返る。意識の切り替わりの瞬間。大きく息を吸って、
「おはようございます!」
 キラッキラの笑顔を作った。軽やかに振り返って、乾いた髪をなびかせる。しなやかなに腰を折り、優雅な動作で会釈をした。目には尊敬と好意を込めて。全身から、礼儀と知性を発露して。まるで元々絵から抜け出した、お嬢様でもあったかのように。
 社会に向けたOLに変身を遂げてから、初めて、チラリとスーツ男の全貌を確認した。

                                 形式:エッセイ
                                 視点:一人称
                                 主語:なし
                                 テイスト:お笑い
                                 枚数:400字×7枚

              つづく。退社のその日まで      ~第六弾

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 んで、スーツ男性は結局誰だったのかって? それは ヒ ・ ミ ・ ツ ☆

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Load STORY vol.5 -+ 削り,足し

 さて仕上げに向かって第五弾っ。
 無駄なところを削って、大事なところを加える。
 おわかりだろうが、このお話はだんだん長々と伸びている。伝えたいことを上手く伝える必要がある。だから、
 贅肉を落とし、良質の筋肉を付ける! まさに美しくシェイプアップ!
 このひと手間が、味の決め手secret

 削ったところは傍線を引いて、足したところは原色にしてます。
 やさしい文章にするため(改行)多用。

――――――――――――――――――――――――――――――

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。ドアをガンガンいわせて一日の出発のスタートをきる。昨今の乙女一人暮らし事情はアブないのだ。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。焼けるコンクリートの熱気が立ち昇って来る。前方の視界に広がる、からっと明るい水色の空に、ご立派な入道雲が浮かんでいた。歩いて来るリーマン達が、何だこいつは」という目でまじまじとこちらを見る。そりゃ小奇麗なワンピースを着た女子が、必死の形相で走っていたらビビるだろう。
 が、そんなことは気にしていられない。今日の一日を占う最初の関門、交差点の信号機が待っている。(改行)
 遥か前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった
 全速力で横断歩道に足を突っ込み、全速力。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。よし、ギリギリで上手く突破した。我ながら華麗な逃走劇だった。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。改行)
 
実際、この爽やかな朝のジョギング運動をしたいがために、走っているのかもしれない。広場中央の庭には、草を刈り上げられた小山の上に大勢のハトたちが、土をつついてていた。黒い羽毛の中に、一羽だけ白っぽいのがいると、「あ、あたしと一緒だ」、とぼんやり眺めたりする。小さいスズメの姿もある。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて行った降りていく
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りた。こけないように注意する。いつもここで妄想する。もし今このウェッジソール・サンダルの足をぐねり、衆人の注目の中階段を転げ落ち、べしゃんと床に突っ伏したらどうなるだろう。どのタイミングで起き上がろう? 起きた瞬間魂が体から抜け出すかもしれない。死はいつも日常生活と隣り合わせだ。
 と、無事に階段を降りきって、左右に分かれた地下道を、迷わず左へ床を蹴った肌色の大理石風のツルツルした石で出来た、広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。汗がいよいよ気持ち悪い。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響いた。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。(改行)
 
この辺りで大体、いつもキモい男にナンパされる。夕方は危険地帯である。お前は自分の姿を鏡で見た事があるのか!? というようなキモいのばっかりが、なぜか寄って来る。ちなみにここではリーマンが多いよく出没する。前友達に、「変な男に狙われやすそうだね」、と言われた。変なのか……。 (改行)
 
コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。まあ、大丈夫だろう、とシビアに予測。
 JRの改札口から流れ出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。数少ない出入り口のガラス戸を出て、エスカレーターを下り、広場の脇を走って、『動く歩道』の上を左側、走り抜けた。
 近づいてくる近鉄駅の看板を見据えて、その前
最後の階段を駆け下りると、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計で最後のリミットを確認、電車が来てないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。華麗なる走破の二連覇達成だ。(改行)
 
以前ここで不幸にも、財布を忘れた愉快なサザエさんになってしまった事がある。まさに悲惨だった。家からこの改札機まで、往復で20分はかかる。本気の走りを見せるしかない。
 ホームに電車の来る電子音が聞こえるメロディが響き渡る。地下線路の奥から深いごうっという風の音。圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 階段を降りてホームを走りながら、次々と車両に抜かされていく。ホームの電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。大丈夫か? まだ間に合う! 最後の駆け込み直線一気の大勝負。馬に例えるならば、後方からのラストスパート、最後の切れ味勝負の、追い込み馬タイプなのだ。このスリルがたまらない! 変態かもしれない! 必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入り、った(改行)
 
中で扉側に向き直って、本を広げた。ああ、何という達成感。おおよその到着時間と、朝の安泰は約束された。中はまだ立つ人はまばらで、余裕をもって立っていられた。読む本は非常に感動的な、有名作家の郷愁センチメンタルモノだ。ゆっくりとページを繰っていく。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。しつこく読み続けながらすぐ降りて、今度は足早にエスカレーターに乗り、別線のホームへ上がる。
 いつものホーム左奥の方へ行き、本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。ここが実は運命を分ける重要なポイントである。痴漢の存在を最大限に警戒する。いや運命の出会いがあるかもしれ……ないだろう。女の人が多数いる列の後ろにササッと並んだ。女は味方だ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。何だ、降りないのか」と、実は毎回落胆する。そして待っていた人の列押し込められる。その中で、女の人がいる方へと注意して進んでいく(改行)
 むっとした熱気と、自分か他人かわからない汗臭さが押し寄せ、車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。ここで、大阪市の地下鉄に貼ってある「チカンはアカン」の紙が目に入り、名作だと思う。押し合いへし合いの静かな肉弾戦が繰り広げられる。が、そこを何とか本を広げ、読む。満員電車も慣れるものである。(改行)
 
これはささやかな自慢なのだが、電車で痴漢に遭ったことはない。やむなく男の中に入ると、「貴様ちょっとでも触ってみろ、大声を上げて車両中に醜態をさらし、警察に突き出し、末代まで社会復帰出来んようにしてやる」、という恐るべきオーラを発しているのだ。ちょっとでも近づこうものなら、「ああん?」という目をくれて嫌そ~に避け、殺気怒気を放つ。そんな気などないオッサンにはいい迷惑だが、未然防止策である。ただ、ボ~ッと道を歩いていると、全く気が抜けているので、後ろからケツを触り逃げされることはある。(改行)
 
一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。新しい、爽やかな隙間風が爽やかだ入ってくる思わず息をついて、体を動かした。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。次降りる駅の、開く扉前に陣取った。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のストーリーがいよいよいいところに突入しているのを読みながら可能な限り早足で階段へ向かい、上がる歩く。人が多いので走ること叶わず。企業戦士達の速い人の濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗って歩きながら目は本に釘付け。だが確実に、現実は近付いて来ているのだ。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。歩き読みながら、出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。今お父さんが息子に、実は愛していたんだと伝え、息子は父や母の苦労を知り、ヒロインと愛の最期へ向かう盛り上がり超感涙シーンなのだ。足がふらふらして、ゆっくりと次の歩を進めていく。つき、地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いて行った。
 視界にぼやけた会社のロゴマークが近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。笑顔で声の大きく、話好きなおじいさんである。いつも守衛室で、怪しい者が会社に出入りしないか見張っている。このおじいさんに捕まったが最後、5分はその場から逃げられない。特に野球の話が大好きである。ウチの会社の野球部は強いので、試合とか選手一人一人の話になると、特にヒートアップする。チアで遠征した時なんかも見てみると、いつも応援に来ている。社内事情にも詳しそうだ。ずっとボーッと立って見張りばかりしていると、暇なのだろう。そのおじいさんの視線をじっくり感じながら、本を閉じると、そこは会社だった。
「おはようございます」
 社会に向けた笑顔を作る。好意をもって、なるべく威圧感を与えないように。意識の切り替わりの瞬間。
 するとそこにいたスーツ姿の男性は……

 エージェント・スミスだった。
 
漆黒のスーツに、黒光りする細いグラサン。眉間に皺を寄せた渋い顔でこちらを見つめている。外人なので、イケメンと言えなくもないが、その存在が怖過ぎる。
 見ると、おじいさんも、エージェント・スミスだった。何と、ここは仮想空間だったのか。私達が現実だと思っていた現実は、機械に見せられた夢で、現実世界の私は、電池として機械生命たちに培養されているのか。
 私は一歩後ずさる。守衛室のガラスに自分の姿が映る。私も、エージェント・スミスだった。
 何ということだ、私が私と思っていたものは、全てエージェント・スミスによるプログラムであったのか! 貴方も、私も、みんなスミス。人類皆兄弟でスミス。私はスミスが変化したものであり、人も物もスミスが変化したものであり、宇宙さえも、この世界はスミスによって動かされている!

 目の前のエージェント・スミスが鉄砲を撃った! その弾道が、スローモーションに見える。私は体を反って、手をゆっくりと回しながら、その鉄の玉が自分の上を通過していくのを見、弾をよけた。(残念ながら全削除)

                    つづく!        ~第五弾

――――――――――――――――――――――――――――――

 なんかここまで来るとぐちゃぐちゃで理解るかどうだか……(汗)
 あんま痩せなかったな~catface
 ああっ、夏なのに!sun

 てなわけで、(仮題)は「華麗なる変態さんが通る」で。
 ラストはまた考えます。

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Load STORY vol.4 +エピソード

 さあノッて参りました、この珍道中、
 どこから来て、どこへ行くのか、
 果たして道は夢に届くのか!?

 てなわけで、第四弾。
 今回はエピソードを入れます。
 出来事に関連したちょっとした小ネタ。文章に構造を持たせ、「現在」の流れの上に「過去」を乗せます。立体構造になって、文章に深みが出るというしくみ。まとめに向かって「ドラマ性」を持たせます。
 設定とかキャラとか伏線みたいな、計算的な「仕掛け」が出て来ます。
 ふ~ん。ほんとかよ。

 では、エピソードの味付けは、「をかし」です。

――――――――――――――――――――――――――――――

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。焼けるコンクリートの熱気が立ち昇って来る。前方の視界に広がる、からっと明るい水色の空に、ご立派な入道雲が浮かんでいた。歩いて来るリーマン達が、何だこいつは」という目でまじまじとこちらを見る。そりゃ小奇麗なワンピースを着た女子が、必死の形相で走っていたらビビるだろう。
 前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった。
 横断歩道に足を突っ込み、全速力。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。よし、ギリギリで上手く突破した。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾いた。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。実際、この爽やかな朝のジョギング運動をしたいがために、走っているのかもしれない。広場中央の庭には、草を刈り上げられた小山の上に大勢のハトたちが、土をつついてていた。黒い羽毛の中に、一羽だけ白っぽいのがいると、「あ、あたしと一緒だ」、とぼんやり眺めたりする。小さいスズメの姿もある。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて行った。
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りた。こけないように注意する。
 左右に分かれた地下道を、迷わず左へ床を蹴った。肌色の大理石風のツルツルした石で出来た、広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。汗がいよいよ気持ち悪い。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響いた。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。この辺りで大体、いつもキモい男にナンパされる。夕方は危険地帯である。お前は自分の姿を鏡で見た事があるのか、というようなキモいのばっかりが、なぜか寄って来る。ちなみにここではリーマンが多い。前友達に、「変な男に狙われやすそうだね」、と言われた。変なのか… コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。まあ、大丈夫だろう、とシビアに予測。
 駅から出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。数少ない出入り口のガラス戸を出て、エスカレーターを下り、広場の脇を走って、『動く歩道』の上を左側、走り抜けた。
 近づいてくる近鉄駅の看板を見据えて、その前の階段を駆け下りる。と、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計を確認、電車が来てないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。以前ここで不幸にも、財布を忘れた愉快なサザエさんになってしまった事がある。まさに悲惨だった。家からこの改札機まで、往復で20分はかかる。本気の走りを見せるしかない。
 ホームに電車の来る電子音が聞こえる。地下線路の奥から深いごうっという風の音。圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 階段を降りてホームを走りながら、次々と車両に抜かされていく。ホームの電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。大丈夫か? まだ間に合う! 最後の駆け込み。直線一気の大勝負。馬に例えるならば、後方からのラストスパート、最後の切れ味勝負の、追い込み馬タイプなのだ。このスリルがたまらない! 変態かもしれない! 必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入り、中で扉側に向き直って、本を広げた。ああ、何という達成感。おおよその到着時間と、朝の安泰は約束された。中はまだ立つ人はまばらで、余裕をもって立っていられた。読む本は非常に感動的な、有名作家の郷愁センチメンタルモノだ。ゆっくりとページを繰っていく。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。読みながらすぐ降りて、今度は足早にエスカレーターに乗り、別線のホームへ上がる。
 いつものホーム左奥の方へ行き、本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。痴漢の存在を最大限に警戒する。女の人が多数いる列の後ろに並んだ。女は味方だ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。そして待っていた人の列は押し込められる。その中で、女の人がいる方へと注意して進んだ。むっとした熱気と、自分か他人かわからない汗臭さが押し寄せ、車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。押し合いへし合いの静かな肉弾戦が繰り広げられる。が、そこを何とか本を広げ、読む。満員電車も慣れるものである。これはささやかな自慢なのだが、電車で痴漢に遭ったことはない。やむなく男の中に入ると、「貴様ちょっとでも触ってみろ、大声を上げて車両中に醜態をさらし、警察に突き出し、末代まで社会復帰出来んようにしてやる」、というオーラを発しているのだ。ちょっとでも近づこうものなら、「ああん?」という目をくれて嫌そ~に避け、殺気を放つ。そんな気などないオッサンにはいい迷惑だが、未然防止策である。ただ、ボ~ッと道を歩いていると、全く気が抜けているので、後ろからケツを触り逃げされることはある。一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。新しい、爽やかな隙間風が入ってくる。思わず息をついて、体を動かした。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。次降りる駅の、開く扉前に陣取った。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のいいとこを読みながら可能な限り早足で階段へ向かい、上がる。人が多いので走ること叶わず。その速い人の濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗って歩きながら目は本に釘付け。だが確実に、現実は近付いて来ているのだ。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。歩き読みながら、出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。足がふらふらして、ゆっくりと次の歩を進めていく。地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いて行った。
 視界にぼやけた会社のロゴマークが近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。笑顔で声の大きく、話好きなおじいさんである。いつも守衛室で、怪しい者が会社に出入りしないか見張っている。このおじいさんに捕まったが最後、5分はその場から逃げられない。特に野球の話が大好きである。ウチの会社の野球部は強いので、試合とか選手一人一人の話になると、特にヒートアップする。チアで遠征した時なんかも見てみると、いつも応援に来ている。社内事情にも詳しそうだ。ずっとボーッと立って見張りばかりしていると、暇なのだろう。そのおじいさんの視線をじっくり感じながら、本を閉じると、そこは会社だった。
「おはようございます」
 社会に向けた笑顔を作る。好意をもって、なるべく威圧感を与えないように。意識の切り替わりの瞬間。
 するとそこにいたスーツ姿の男性は……

 エージェント・スミスだった。
 
漆黒のスーツに、黒光りする細いグラサン。眉間に皺を寄せた渋い顔でこちらを見つめている。外人なので、イケメンと言えなくもないが、その存在が怖過ぎる。
 見ると、おじいさんも、エージェント・スミスだった。何と、ここは仮想空間だったのか。私達が現実だと思っていた現実は、機械に見せられた夢で、現実世界の私は、電池として機械生命たちに培養されているのか。
 私は一歩後ずさる。守衛室のガラスに自分の姿が映る。私も、エージェント・スミスだった。
 何ということだ、私が私と思っていたものは、全てエージェント・スミスによるプログラムであったのか! 貴方も、私も、みんなスミス。人類皆兄弟でスミス。私はスミスが変化したものであり、人も物もスミスが変化したものであり、宇宙さえも、この世界はスミスによって動かされている!
 目の前のエージェント・スミスが鉄砲を撃った! その弾道が、スローモーションに見える。私は体を反って、手をゆっくりと回しながら、その鉄の玉が自分の上を通過していくのを見、弾をよけた。

                    つづ、かんだろ。      ~第四弾

――――――――――――――――――――――――――――――

 今日はスミスバージョンにしてみた。      (注:エージェント・スミス『マトリックス』より)

 人に見られると勇気が湧いて来ます。みんなありがとう!

 呪文を唱えよう。:私は作家 私は作家 ・・・

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Load STORY vol.3 +感想

 さて第三形態に進もうとしている。
 第三弾は、感想~思ったこと、を書く。
 感想という名のツッコミ。
 ずばりスパイス。
 あんまりかけ過ぎると辛くなるよ。

 思ったことや感じたことを、読む人に「感じられる」ように書く。
 このへんから、表現内容、テーマを特定していくとこらしいです。
 私が入れたい情感は、「あはれ」よりも「をかし」。
 昔芸大の文章の先生に、「キミの文章は紫式部より清少納言のキレ味の方に近いね」、と言われたので。(紫式部の方が好きなんだけど)
 何せエッセイっすから!
 新しく書き加えた感想のところは、赤字■■にしてるヨ。

――――――――――――――――――――――――――――――

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。焼けるコンクリートの熱気が立ち昇って来る。前方の視界に広がる、からっと明るい水色の空に、ご立派な入道雲が浮かんでいた。歩いて来るリーマン達が、何だこいつは」という目でまじまじとこちらを見る。そりゃ小奇麗なワンピースを着た女子が、必死の形相で走っていたらビビるだろう。
 前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった。
 横断歩道に足を突っ込み、全速力。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。よし、ギリギリで上手く突破した。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾いた。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。実際、この爽やかな朝のジョギング運動をしたいがために、走っているのかもしれない。広場中央の庭には、草を刈り上げられた小山の上に大勢のハトたちが、土をつついてていた。黒い羽毛の中に、一羽だけ白っぽいのがいると、「あ、あたしと一緒だ」、とぼんやり眺めたりする。小さいスズメの姿もある。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて行った。
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りた。こけないように注意する。
 左右に分かれた地下道を、迷わず左へ床を蹴った。肌色の大理石風のツルツルした石で出来た、広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。汗がいよいよ気持ち悪い。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響いた。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。まあ、大丈夫だろう、とシビアに予測。
 駅から出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。数少ない出入り口のガラス戸を出て、エスカレーターを下り、広場の脇を走って、『動く歩道』の上を左側、走り抜けた。
 近づいてくる近鉄駅の看板を見据えて、その前の階段を駆け下りる。と、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計を確認、電車が来てないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。
 ホームに電車の来る電子音が聞こえる。地下線路の奥から深いごうっという風の音。圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 階段を降りてホームを走りながら、次々と車両に抜かされていく。ホームの電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。大丈夫か? まだ間に合う! 最後の駆け込み。直線一気の大勝負。馬に例えるならば、後方からのラストスパート、最後の切れ味勝負の、追い込み馬タイプなのだ。このスリルがたまらない! 変態かもしれない! 必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入り、中で扉側に向き直って、本を広げた。ああ、何という達成感。おおよその到着時間と、朝の安泰は約束された。中はまだ立つ人はまばらで、余裕をもって立っていられた。読む本は非常に感動的な、有名作家の郷愁センチメンタルモノだ。ゆっくりとページを繰っていく。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。読みながらすぐ降りて、今度は足早にエスカレーターに乗り、別線のホームへ上がる。
 いつものホーム左奥の方へ行き、本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。痴漢の存在を最大限に警戒する。女の人が多数いる列の後ろに並んだ。女は味方だ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。そして待っていた人の列は押し込められる。その中で、女の人がいる方へと注意して進んだ。むっとした熱気と、自分か他人かわからない汗臭さが押し寄せ、車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。押し合いへし合いの静かな肉弾戦が繰り広げられる。が、そこを何とか本を広げ、読む。満員電車も慣れるものである。一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。新しい、爽やかな隙間風が入ってくる。思わず息をついて、体を動かした。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。次降りる駅の、開く扉前に陣取った。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のいいとこを読みながら可能な限り早足で階段へ向かい、上がる。人が多いので走ること叶わず。その速い人の濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗って歩きながら目は本に釘付け。だが確実に、現実は近付いて来ているのだ。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。歩き読みながら、出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。足がふらふらして、ゆっくりと次の歩を進めていく。地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いて行った。
 視界にぼやけた会社のロゴマークが近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。笑顔で声の大きく、話好きなおじいさんである。いつも守衛室で、怪しい者が会社に出入りしないか見張っている。そのおじいさんの視線をじっくり感じながら、本を閉じると、そこは会社だった。
「おはようございます」
 社会に向けた笑顔を作る。好意をもって、なるべく威圧感を与えないように。意識の切り替わりの瞬間。
 するとそこにいたスーツ姿の男性は……

 インド人だった。
 黒めの肌に、くりんくりんと跳ねた黒く短い髪の毛。目はこれまたくりんくりんと大きく、落ち窪んでわずかに薄い色をしている。外人顔なので、イケメンと言えなくもないが、いかんせん濃い。その上甘い。チュッパチャップスのような味わいの顔をしている。体は大きく、厚みのある印象。筋肉なのかしれない。年は29歳。彼女はいない。女好きだが実は孤独なタイプだ。最初はナイーブな少年みたいな印象だったが、今はただ‘伊達男‘ である。というか、日本人である。というか、同じ会社のピンバッジを付けている。というか、直属の上司である。
「あ、アニキ主任。おはようございます」
 インドどころか、南方系か、エジプト人か、トルコ人のようにも見える。今は仕事の逐一を教えてくれ、非常に優しいのだが、文章の言い回しなどに赤ペンを入れて貰うと、そのセリフ回しが若干古臭い。30前の男のセンスはわからない。
「お~、こさっぺさん、おはよう」
 アニキ主任は先週まで高野山に修行に行っていた。

                     つづく。(のか?)     ~第三弾

――――――――――――――――――――――――――――――

 これで私の変態なSM思想が明らかになったわけだが。
 まあ今日はこのへんにしといてやろう。
 まだまだ続きます。

 ギリギリでいつも生きていたいから~♪ア~ァ~

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Load STORY vol.2 +描写

 はい、ソッコー次やります。
 第二弾は、描写 を入れる。
 前回、起こった出来事を順に書いた「動き」に対して、立ち止まって様子を描く「静止」である。
 見たものだけでなく、聞いたもの、匂ったり味わったりしたことを書いていく。
 文章世界の味わいを作る。味わい=描写。描写がなければ小説ではない!
 だって~。ふ~ん。
 そんなわけで、描写を書き足してみたヨ。書き足したところは、文字を水色■■にしてます。

――――――――――――――――――――――――――――――

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。焼けるコンクリートの熱気が立ち昇って来る。前方の視界に広がる、からっと明るい水色の空に、ご立派な入道雲が浮かんでいた。歩いて来るリーマン達が、何だこいつは」という目でまじまじとこちらを見る。
 前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった。
 横断歩道に足を突っ込み、全速力。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾いた。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。広場中央の庭には、草を刈り上げられた小山の上に大勢のハトたちが、土をつついてていた。小さいスズメの姿もある。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて行った。
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りた。こけないように注意する。
 左右に分かれた地下道を、迷わず左へ床を蹴った。肌色の大理石風のツルツルした石で出来た、広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響いた。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。
 駅から出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。数少ない出入り口のガラス戸を出て、エスカレーターを下り、広場の脇を走って、『動く歩道』の上を左側、走り抜けた。
 近づいてくる近鉄駅の看板を見据えて、その前の階段を駆け下りる。と、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計を確認、電車が来てないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。
 ホームに電車の来る電子音が聞こえる。地下線路の奥から深いごうっという風の音。圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 階段を降りてホームを走りながら、次々と車両に抜かされていく。ホームの電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。最後の駆け込み。必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入り、中で扉側に向き直って、本を広げた。中はまだ立つ人はまばらで、余裕をもって立っていられた。読む本は非常に感動的な、有名作家の郷愁センチメンタルモノだ。ゆっくりとページを繰っていく。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。読みながらすぐ降りて、今度は足早にエスカレーターに乗り、別線のホームへ上がる。
 いつものホーム左奥の方へ行き、本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。女の人が多数いる列の後ろに並んだ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。そして待っていた人の列は押し込められる。その中で、女の人がいる方へと注意して進んだ。むっとした熱気と、自分か他人かわからない汗臭さが押し寄せ、車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。押し合いへし合いの静かな肉弾戦が繰り広げられる。が、そこを何とか本を広げ、読む。一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。新しい、爽やかな隙間風が入ってくる。思わず息をついて、体を動かした。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。次降りる駅の、開く扉前に陣取った。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のいいとこを読みながら可能な限り早足で階段へ向かい、上がる。人が多いので走ること叶わず。その速い人の濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗って歩きながら目は本に釘付け。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。歩き読みながら、出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。足がふらふらして、ゆっくりと次の歩を進めていく。地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いて行った。
 視界にぼやけた会社のロゴマークが近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。笑顔で声の大きく、話好きなおじいさんである。いつも守衛室で、怪しい者が会社に出入りしないか見張っている。本を閉じると、そこは会社だった。
「おはようございます」
 社会に向けた笑顔を作る。好意をもって、なるべく威圧感を与えないように。意識の切り替わりの瞬間。
 するとそこにいたスーツ姿の男性は……

 インド人だった。
 黒めの肌に、くりんくりんと跳ねた黒く短い髪の毛。目はこれまたくりんくりんと大きく、落ち窪んでわずかに薄い色をしている。外人顔なので、イケメンと言えなくもないが、いかんせん濃い。その上甘い。チュッパチャップスのような味わいの顔をしている。体は大きく、厚みのある印象。筋肉なのかしれない。年は29歳。彼女はいない。女好きだが実は孤独なタイプだ。最初はナイーブな少年みたいな印象だったが、今はただ‘伊達男‘ である。というか、日本人である。というか、同じ会社のピンバッジを付けている。というか、直属の上司である。
「あ、アニキ主任。おはようございます」
 インドどころか、南方系か、エジプト人か、トルコ人のようにも見える。今は仕事の逐一を教えてくれ、非常に優しいのだが、文章の言い回しなどに赤ペンを入れて貰うと、そのセリフ回しが若干古臭い。30前の男のセンスはわからない。
「お~、こさっぺさん、おはよう」
 アニキ主任は先週まで高野山に修行に行っていた。

  (つづく。かも。このお話はマジでノンフィクションです)   ~第二弾

――――――――――――――――――――――――――――――

 何か既に描写も書いちゃってた気がする。ある程度。
 いかんですな。お勉強なのに。やっぱ計画通りに書くのは難しいですわ~。

 ちなみに最後書き足した部分はマイミク蛇口っちゃんの提言による。(前回分のコメント参照)
 まあスーツ男が誰かは何パターンか考えてたんだけどねhorse

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Load STORY vol.1 起こった出来事を書く

 昔、エッセイコンテストなるもので一等賞を獲ったことがある。

 つっても、高校のクラス内の、ホームメイドな賞である。ちなみに景品は、図書券500円分を担任の先生からゲットした。
 とはいえクラス内の過半数の得票数を得て、華々しく頂いたいい思い出がある。
 その時書いたエッセイはどんなお話だったかというと、単に朝家を出てから学校に着くまでの道のりを、ボケとツッコミとノリで書いたものだった。

 今そのしょーもないストーリーが繰り返されようとしている!
 何でも、今お勉強中の本に、「朝、起きてから会社に行くまで。のありきたりな日常を、自分らしく書いてみるといいよ」と(ゆーよーなことが)書いてあったからである。
 まず、見たそのままを書いていくことから始まり、“ストーリー文”の形にしていくという方法があるらしい。(詳しくは『読むだけで「書く力」が劇的に伸びる本』ヨリ←うさんくさいタイトル)
 ので、やってみることにした。
 第一弾は、起こった出来事を、順番に書いていく。
 ‘今起こっているように書いていこう‘ とのことだった。
 この後さらに、色んな書き方をした文章を付け足していく。と、「伝わる、惹き付ける、読ませる文章」の形になる、らしい。
 どうだろ~。

 てなわけで、こさっぺ的に「よくある」「日常の」朝。Here we~, GO!♪

――――――――――――――――――――――――――――――

 カギを掛けて、ドアノブを引っ張り、ドアが閉まっていることを確認する。
 スタートダッシュで階段を駆け下り、大通りの歩道に出た。歩いて来るリーマン達が、こちらを見る。
 前方の信号機を見て、一直線に走る。青。まだ青。点滅が始まった。
 横断歩道に足を突っ込み、全速力。赤。でも車用信号はまだ黄色、から赤。
 交差点を駆け抜けて、マンション間の庭園の奥へ向かった。熱い日差しがじりじりと肌を焼く。シャワーを浴びたての髪が水を弾いた。弾む呼吸を吐き出し、走るリズムを掴む。そのまま地下道への入口へ吸い込まれて行った。
 出来るだけ速く小刻みに、階段を駆け降りた。こけないように注意する。
 左右に分かれた地下道を、迷わず左へ床を蹴った。広くてキレイな石造りの、長い地下道を、長いストロークで走って行く。ワンピースのスカートが、脚に纏わり付く。ぱんぱんと、サンダルの靴底の音が響いた。駅に近付いて、まばらに人が増えてきた。コンビニや薬局、パン屋を通り抜けて、JRに着く頃に、振り返って駅の時計で時間を確認。
 駅から出てくる人の波に混じって、地下鉄へと向かう。数少ない出入り口のガラス戸を出て、エスカレーターを下り、広場の脇を走って、『動く歩道』の上を左側、走り抜けた。
 近づいてくる近鉄駅の看板を見据えて、その前の階段を駆け下りる。と、いよいよ地下鉄の改札が見えた。階段から着地して跳ぶように走ると、上の時計を確認、電車が来てないか音を確認し、走りながら鞄より財布を取り出す。絶妙のタイミングで、走り抜けるスピードを殺さずPiTaPaでピッ、改札を抜けた。
 ホームに電車の来る電子音が聞こえる。地下線路の奥から深いごうっという風の音。圧迫する塊のような音と共に、電車が猛スピードでホームに駆け込んで来た。
 階段を降りてホームを走りながら、次々と車両に抜かされていく。ホームの電車乗降口は、まだはるか前方に遠い。最後の駆け込み。必死に、扉が閉まるまでを目算して走る。何とか、出発前の列車の扉に入り、中で扉側に向き直って、本を広げた。
 そうこうするうちに、あっという間に一駅。読みながらすぐ降りて、今度は足早にエスカレーターに乗り、別線のホームへ上がる。
 いつものホーム左奥の方へ行き、本からチラリと目線を上げながら、綿密に並ぶ列を探す。女の人が多数いる列の後ろに並んだ。
 しばらくして列車が来る。ぱかっと扉が開くが、降りる人はほとんどいない。そして待っていた人の列は押し込められる。その中で、女の人がいる方へと注意して進んだ。車両の中はぎゅうぎゅう詰めになる。が、そこを何とか本を広げ、読む。一駅経つと、人が一気に減ってぎゅうぎゅうが解消された。二駅、三駅で、もう自由に動き回れるようになる。次降りる駅の、開く扉前に陣取った。
 四駅目、扉が開くと共に飛び降り、本のいいとこを読みながら可能な限り早足で階段へ向かい、上がる。人が多いので走ること叶わず。その速い人の濁流に乗って、改札を出、エスカレーターに乗って歩きながら目は本に釘付け。
 広い地下道に出て、リーマン、OLたちはそれぞれの出口へ散り散りになった。歩き読みながら、出口へ向かい、階段を昇る。横から覗き見るスーツ姿の視線を感じるが、意識は本に感動して離せなかった。地上が近づく。熱い光の世界の中に飛び出して、なおも本を読みながら右折して歩いて行った。
 近づいてくる。遠くから見つめるいつもの朝の警備員さん。本を閉じると、そこは会社だった。
「おはようございます」
 社会に向けた笑顔を作る。意識の切り替わりの瞬間。
 するとそこにいたスーツ姿の男の人は……

                                          ~第一弾

――――――――――――――――――――――――――――――

 「感想や考えを一言も入れない」のがポイントらしい。
 無味乾燥だもんね~。
 しかもオソマツなことに、文末が大体、現在形(~する。)と過去形(~した。)の繰り返し。
 これがこれからどうなっていくのか、料理される様子を、変化を追って段階ごとにしつこく、お伝えしていきます。それではまた来週~paper

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仮想現実の貴方へ

拝啓
 早春の候、如何お過ごしですか。
 突然こんなお手紙を出して驚かれましたか。失礼をお許しください。
 この度は、優に百枚を超える大作を読ませて頂いて、ありがとうございます。
 貴方が精魂込めて、人生を賭けて書かれたものだと、感じられました。

 ただ、私の感じたことをお話しする前に、一つだけ、忘れないでください。
 私はただ貴方のことを、幸福を、ためを思っています。
 貴方となら、性差を越えた親友になれるって、半ば本気で信じているのですよ。
 やっと見つけた大切な仲間だと。
 だからどうか、傷つかないで。心を静めて。
 この先を読み進めてください。

 まずこの作品は、目次の、用語の羅列に特徴があるのではないでしょうか。
 物語の起承転結は本来、長さの違う波のように流れていくもの。それをこのように浮き出させると、構成の粗をわざわざわからせてしまうでしょう。プロの方の目にはきっと。
 格好をつけた幼さというのでしょうか、新人には向かない方法かと思います。

 文章にも、『 』 が多用されていたり、カタカナや――が多かったり、うざい、とかスルー、とかドン引き、などの表現が若く感じられます。また、伏線についての説明が出たり、サイヤ人やマトリックスなどの、作品内における著作権法の無意識も、少し幼稚に思われそうです。応募する賞に合っているのでしょうか。

 あと、第二部になって、最初の展開が少々重たく感じます。よくわからないことをくどくどと説明されると、興味を失いかけてしまいます。

 高木と唯の設定には無理があるかと思います。
 貴方の仕掛けは、どこかまだ崩れがありますね。

 補足として、私の身の回りの人が少し読んだ意見を、併せて書いておきます。
 機械の説明から、熟語、独特の言い回しに、難しさと拒絶反応を感じるようです。
 無理と敬遠されたり、面白さを感じられないようです。
 ある人は、感情よりも情報で書かれている、なので読むのがしんどい、
 気持ちを惹き込む何かが欲しい、と言います。
 全て女性の感想ですけれど。
 言うなれば、女の好きな全く意味のない話、とは裏腹の、意味のある濃くて難しい話だけを淡々とされると、疲れるといったところでしょうか。
 難しく見せるより、難しいことをわかりやすく見せた方が、一般の人にも入りやすくなると思われます。

 良かったのは、私は常日頃ミステリーは読まないのですけれど(人が何の感慨もなく都合で殺されていくのや、結局最後まで明かされない謎を考えるのが嫌だったのです)、この作品ではすんなりとその思考の世界に入り込み、考えるのを楽しむことが出来ました。

 私が思っていたより貴方はずっと、才能のある、若者なのだなと知りました。

 キャラクターがとても良かったです。私はキャラクターに惚れ込む方なのですけれど、ここまで描けるのも、凄いと思います。
 研究者の佐木秀二はとても魅力的に感じました。
 天才肌で、友達を想うこんなにいい男なら、私はモテると思いますけど。彼の馬鹿らしい振る舞いも、私は好きです。
 高木や唯、研究所の面々も特徴的ですし、
 刑事の明美や矢部も、奥深い人物造形がステキです。
 秋子は魔性でしょうか。主人公は等身大で良いですね。
 彼らの軽く明るい会話は、話をのせて転がすように、私を楽しませてくれました。

 そして、仕掛けはお見事、の一言に尽きます。
 少し古いですが、映画「バックトゥザフューチャー」を見た時のような感覚がありました。
 百枚とそれ以降を前・後編とするのなら、百枚以降の方を後づけで考えたのなら凄いと思いました。
 貴方が自らの頭の良さに自信を持っていることにも頷けます。
 きらめくように飛び出す謎、謎、謎の怒涛の展開で、最後まで走り抜ける。貴方の真骨頂なのでしょうね。
 初めて見せてもらいました、これが、貴方の武器ですか。

 さて、私には一つ、貴方に明かしていない“謎”があります。
 知れば自ずとそれとわかるでしょう。

 人の前で表現するのは嫌だと、貴方は言うかもしれないけれど。
 いつもいつも、トラップを使って本心を見せようとしない貴方だから、高い壁を突き破って、こちら側に来て欲しい。

 おこがましい私見を述べることをお許しください。
 貴方の成長を心から願っています。

 貴方なら、わかってくれると信じています。
 願わくば、お返事を。お待ちしています。
                                           敬具

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