スポーツ進化論
いつもお昼時に配られる広告で、面白いものがあった。
究極の変わりダネスポーツ
『エクストリーム・アイロニング』
社員食堂に生命保険売りにくるお姉さんが、いつも自社PRの広告を置いていくのだが、いつも見向かないそれが、今回妙に目についた。
97年に英国で発祥したスポーツらしい。
すごい高い山の頂上でジャンプしながらとか、滝に打たれながらとか、水族館の水槽の中でスキューバしながら、アイロンがけをする。
山の頂へ、水の中へ。アイロン片手にどこまでも。
山頂に立った時の達成感と、しわを伸ばす瞬間の清々しさが一つになった、最高の気分を味わえるそう。
色んな写真を見ると、ものすごい場所にがんばって行って、しかるのちにアイロンがけをしている。
…てか、ホンマか? ヤラセちゃうんか? ホンマなんかウソなんか、わからん。
なぜアイロンがけなのか、すごく謎だ。
ってか、そんなんもう何でもあり、何でもできるじゃないか。
たとえば……
どんな場所でも、メモするスポーツ。
そうだな、仮に『エクストリーム・メモリング』と命名しよう。
山の頂へ、水の中へ。メモ帳片手にどこまでも。
ロッククライミングしながらメモる。海を泳ぎながらメモる。
しかもそのメモ内容は、その衝撃の瞬間を鮮明に記録し、後々までいきいきと息づかせる内容でなければならない。
昔、無人島に何か1つだけ持ってくとしたら何にするかと聞かれて、迷いなく「メモ帳」と答えた。経験は全てのネタである。
無人島で火を起こしながら、その状況で感じたことをメモる。山中で熊に遭遇したら、その瞬間をメモる。熊にやられて倒れたら、その意識が遠のき三途の川を渡って、また帰ってきたところを、起きた瞬間、かたわらのメモ帳にメモる。(寝ていてもインスピレーションが来たら飛び起きてメモするのは基本行為である)
何と体を張ったスポーツだ。
ってか、いちいちメモ帳を持っていかなくても、ほんとはいつも、心の中に「メモ帳」はあるのだ。
仕事なんかで衝撃の体験をしている時も、バレーボールのラリーが続いてものすごく集中してる時も。頭の中のメモ帳に、メモ内容をものすごい計算で取捨選択しながら、最高の表現を書き込んでいる。
料理を作って鶏肉を切っている時も、パソコンに向かって座ってる時も……。
てゆーかもうスポーツじゃないじゃん。
進化は退化と共に起こるのね。
それより、さっき取り込んだ洗濯物が、まだそこに転がってるんだけど。
あたしがアイロンをかけても、そこまでアイロンがけに情熱を注いでいるスポーツマンの方が、明らかに上手いだろう。
何せ熱さが違いますから。
……しょーもないこと書いてないで、明日着るシャツのアイロンでもかけるか。
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