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相続 ~金と利害が人を汚すとき

 相続争いが勃発した。

 49日が過ぎ、おじいちゃんの遺言をひらいたのだ。

 「汚い」お金というのは、こういう風にして出来るんだな、と思った。
 金や自分の利害がからむと、人はおそろしいほど汚く、「自分さえ良ければ良い」となる。
 今日こさっぺは、この小さな相続争いにも、社会の縮図を見た。

 世のご老人というのは、驚くほど金を持っている。
 まったく今の若者に年金をわけてほしいと思うくらいだ。
 そんな埋蔵遺産金が出てきたものだから、息子や娘は大喜びした。それも、おじいちゃんやおばあちゃんの面倒は、全く少しも見ていない兄妹たちが、である。
 うちは次男にもかかわらず、おじいちゃんとおばあちゃんの面倒をみているので、喜ぶというよりは、おばあちゃんのためにどう活用するかにまず頭をつかう。
 そして無責任な兄妹たちは、「面倒を見る」という義務は果たさないのに、「金をもらう」という権利ばかりは過大に主張してくる。
そ、れ、が、相続争い、というものだ。

 そんなわけで、おもに面倒を引き受けさせられることになるのが、うちのママである。
 今日ママは、パパの妹さんの言葉に、怒り心頭していた。
 パパの妹さんは、おじいちゃんが死ぬまではあたしも全く見たことのなかった人で、ここではサッチーさんと言っておく。(パパのお兄さんもいるのだが、それはさらにタチが悪いのでここでは割愛)
 サッチーさんは、おばあちゃんにあげたはずの米をママが横取りし、その上法事で出した御仏前金までママがネコババした、とパパに言ってきた。
 いや、お米はおばあちゃんに分けてもらったものだし、法事のお金は、このあと仏壇を買うために保管しているのだ。なんせおばあちゃんの身の回りの面倒を見ているのだから。
 それを、サッチーさんに「自分の金を盗んだ」とばかりに悪者呼ばわりされたものだから、パパにその話を聞いてから、ママは怒りに打ち震えていた。
 隣で見ていても、ママは黙って固まっているだけなのだけど、怒りが黒いうずとなって、体内に渦巻いているのが見えるようだった。
(な・なんでそんなこと言われなあかんの・・・)プルプル
(自分らしっかりせんと、全部こっちに面倒押し付けようとしてるくせに・・・)
(金のことばっかうるさく言うてきて、おばあちゃんにもいらんこと吹き込んで・・・)
(×△@■☆▼*◇!!)
 と、いう声が聞こえてくるようだった。
 あたしも同じ気持ちになって、2人でずーん、と怒りに沈んでいた。

 が。
 おや? この気持ち、なんか覚えがあるぞ。
 思い出す。そうだ、会社であまりにも理不尽なことを言われ続けた時の、あたしが病んだ原因の気持ちと一緒なんのだ。
 思えばママも真面目で、物事が見えすぎて、かつ全部イヤなことも自分で抱え込んでしまうところがある。
 こさっぺはなにかとお母さん似で、だからこそママを私が救わねばっ、と思って心配していたのだけれど、なんだ、この悩み方は、あたしと同じじゃん、と気づいた。
 そして客観的に言った。
「どうせ向こうは、何も考えてないよ。みんな自分の都合しか考えてないんだからさ。そんなんで、しょーもないこと言われたのをいちいち気にしてたって、時間の無駄だよ。適当に言われたことを、真面目に考えて悩む方がバカみたいじゃん」
 まさにそのとおり。
 自分で言いながら、自分が今まで悩んできたことも、いかにアホらしかったか実感できた。なんかもう、会社の呪いというか、憑き物が落ちたような気持ちになった。
 第三者の目で客観的に見てみると、自分の状況も今のママと同じで、なんっっっってしょーーーもない薄っぺらなことで悩んでたのかしら! と再認識した。
 あたしの上司だった人たちが、物事を良く考えて発言していたかといえば100%違う、というのは周知の事実だった。
 責任逃れてヘラヘラ~と生きる、そんな人たちの言動に振り回されて、悩む必要はないのだわ!
 どうせみんな何も考えてなくて、自分のことしか考えてなくて、その場で適当に言葉発して生きてるだけだもんな。
 ママを救うつもりが、自分が救われたような気持ちになった。

「そうだよね」
「ね」
 と言いあって、その後は2人で納得して、ガハガハ笑ってテレビでも見た。

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